エビナ・ビール トーマス・レハクさん インタビュー

エビナ・ビールのトーマスさんとは?

エビナ・ビールのオーナー、トーマス・レハクさんはチェコの首都プラハ出身。プラハは美しい街並みと文化に富んだ人気の観光地の一つであるだけでなく、ビール醸造についても長い歴史があります。トーマスさんと奥様の史香さんは2004年から2016年までプラハに住んでいました。

プラハ時代、トーマスさんはプラハ国立オペラプラハ・フィルハーモニー管弦楽団のチューバ奏者として活躍していました。音楽はトーマスさんの趣味だったので、音楽を仕事にできたのは彼にとってはとてもラッキーなことでした。チューバ奏者として20年のキャリアを積み上げ、その間、世界中のさまざまな人々と一緒に仕事をしました。スターウォーズの音楽をレコーディングする際には、ジョージ・ルーカスに会ったこともあります。またその他の音楽や有名なハリウッド映画の音楽のレコーディングにも参加しました。

エビナ・ビール開店は簡単な道のりではありませんでした。トーマスさんの夢を実現させるために、まず史香さんが愛する二人の子供たちと一緒に日本に引っ越しました。トーマスさんがプラハに残ってオーケストラで演奏している間、史香さんは日本でレストラン開業とビール醸造に使うマッシュ・タン(糖化槽)についての面倒な厄介な手続きを進めていました。トーマスさんは日本に到着すると、商業用の醸造経験を積む必要がありました。そのため、日本海倶楽部のJiri Kotynek(Kotas)さんと一緒に働きながら、横浜ブルーイングで醸造経験を積みました。今日でも、横浜ブルーイングのオーナーさんがエビナ・ビールに時々立ち寄ることがあります。(我々がトーマスさんに取材しているときも、オーナーさんはエビナ・ビールにやってきて、トーマスさんが作ったコーヒー・ダーク・ラガーを美味しそうに飲んでいました。)

新しい醸造所の最大の難関は税務署から許可を得ることでした。トーマスさんは、税務署はこのような依頼を受けたことがあまりなかったのではと、語っていました。しかし、トーマスさんと史香さんは税務署の担当者とのやり取りも何とかうまく切り抜けました。この経験は、双方にとって良い経験となり、エビナ・ビール創設へとつながりました。

トーマスさんは、日本に来てから様々な経験をしました。なかでも一番うれしかったことは、史香さんも一緒に彼の夢の実現に向けて協力してくれたことでした。お互いに話し合いながら、そして醸造所の周りで彼らの子どもたちが遊ぶようになって、トーマスさんと史香さんは海老名地域に馴染んでいきました。

ビジネスを行うストレスや心配はありましたが、今では彼らは幸せな子どもたちと一緒に暮らす幸せな夫婦そのものです。彼らが常連さんや興味本位で彼らのお店を訪れる人々をもてなす姿にその暖かな心を感じることができます。お店のスタッフも含め、この家族の暖かさには、トーマスさんと史香さんがこの地域の人々とどのように接しているかが表れています。エビナ・ビールは、こぢんまりとしたリラックスできる雰囲気があり、またトーマスのラガービールも人気を得ています。彼のピヴォ(チェコ語でビールのこと)は個性的で新鮮で、飲みやすいビールです。ビールの名前もキャッチ―なので、我々はトーマスさんのことを「神奈川県のラガー王」と呼んでいます。

トーマスさんはチューバ奏者から醸造所オーナーへと転身しました。ビールを作るという彼の趣味は彼のキャリアになりました。その代わり、チューバ奏者としての彼の過去のキャリアは、今では彼の趣味となっています。彼は非常に謙虚な人物ですが、彼とビールを飲むのは、とても楽しいひとときでした。そんなトーマスさんに会いに、2018年で彼のブースをぜひ訪れてみてください。我々もJapan Brewers Cupで再び彼に会い彼のビールを飲むのを心待ちにしています。もちろん、またエビナ・ビールにも行くつもりです。

「私は定年まで音楽を続け、ビール醸造は私の2番目の趣味にするつもりでした。実際にプラハでは自家醸造を行っていました。みんな私のビールを大好きで、私もビール醸造を楽しんでいました。2年位前、私は音楽家としてのキャリアを捨てて、プロのビール醸造家としてビジネスを始めることを決心しました。人生は一度きりしかありません。だから私は今やりたかったんです。音楽を続けて年を取り過ぎたら、醸造所を建ててスタートするチャンスを逃してしまうかもしれません。私の妻は日本人ですし子どもたちも日本を愛していたので、私は日本に移る決心をしました。醸造所を建設するために、多くの時間とお金を費やしました。いろいろな厄介な手続きなどに1年かかり、私は妻とともに何とかここまでたどり着くことができました。妻の地元である神奈川県の海老名でビジネスを始めることに決め、私たちは2017年2月にレストランをオープンし、7月に醸造を開始しました。

チェコの人々のビール消費量は世界でNo.1です。しかし、私が知る限り、日本人もチェコ人に負けず劣らずのビール好きです。チェコのラガービールを皆さんに提供できてとても嬉しいです。」

―トーマス

インタビュー

タイヘイ:自家醸造を始めた理由を教えてください。

トーマス:多くのチェコ人と同じように私もビール好きです。あのような美味しい飲み物がどのように作られるのか興味があり、作り方を探り始めました。その次のステップが自家醸造でした。ビール醸造はとても面白かったですし、家族や友達と自分が作ったビールを一緒に飲めるのも楽しかったです。いわゆる、2重の喜びでした。😉

タイヘイ:トーマスさんの家系が偶然ビール醸造の家系だったんですか。それとも、トーマスさんが始めたんですか。

トーマス:私の家系はビール醸造家ではありません。父はクラシック音楽家でした。私も子供のころから音楽が好きだったので、私も最初は音楽家の道を選びました。祖父が自家蒸留酒を作っており、プラムなどを蒸留させて作っていましたが、私は蒸留酒よりもビールの方が好きです。

タイヘイ:エビナ・ビールのロゴにチューバが2つ描かれていますが、何か特別な意味があるのかなと思いますが。

トーマス:ロゴにチューバを入れるのは私の妻のアイデアです。ロゴを見るたびに、彼女がそのアイデアを提案してくれたことを嬉しく思います。ロゴに描かれているのはチューバの他にビールと関係がある麦芽とホップです。

タイヘイ:自家醸造から販売用の醸造に移行するのは、新しい楽器を学ぶようなものでしたか。チューバからトランペットやギターへの移るような感じでしょうか。

トーマス:そうですね。そのようなイメージが合っていると思います。新しい楽器の演奏方法を学ぶ必要がありました。ポットやバケツを使う自家醸造から販売用に醸造へ変えるのは大きな変化でした。新しい技術を学ばなければならない。例えばチューバからギターに変わるような、共通点はあまりなかったです。

タイヘイ:チューバにどのくらいの量のビールが入りますか。

トーマス:良い質問ですね🙂いつかやってみなくては!そうですね、おそらく10~15リットルでしょう。次回試してみましょう😉

タイヘイ:クラフトビール愛好家ビギナーの我々の読者のために、どのようなホップや麦芽が伝統的なチェコスタイルのラガービールに合っているか教えてください。

トーマス:伝統的なチェコスタイルのビールはピルスナーモルトとチェコのホップ、主にSaazを使っています。他に何も加えません。

タイヘイ:トーマスさんが作っているのは伝統的なチェコのラガービールですか。それとも独自にアレンジしていますか。

トーマス:チェコのラガービールを飲んで育ったので、伝統的なチェコのラガービールが大好きです😉しかし、新しいことを試して自分のスタイルを作るのも好きです。なので、私の商品のラインナップには、伝統的なチェコのラガービールとエビナ・ビールの独自のレシピで作ったビール両方取り揃えています。

タイヘイ:日本のクラフトビール醸造所が作ったチェコスタイルのビールの印象を教えてください。

トーマス:素晴らしいチェコスタイルのビールがいくつかありますよ。エールタイプからラガービールを作るのは少し難しいので、日本の醸造所はラガービールを作るのにちょっと不安があるのかなと思います。良質なチェコスタイルのラガービールを作るには、醸造工程と貯蔵・熟成工程にエールタイプのビールの2倍時間がかかるので、費用と流通の問題もおそらくあると思います。

タイヘイ:エビナ・ビールのメイン商品は何ですか。

トーマス:もちろん、ラガービールです。前にもお話したと思いますが、新しいものを試すのも好きですし、他の種類のビールも好きなので、ラガービールの他にもいろいろなビールをご用意しています。

タイヘイ:スターウォーズのレコーディングに参加したことがあると仰っていましたが、スターウォーズの中でどの作品が一番好きですか。

トーマス:そうですね、ここで言うべきではないかな。もしジョージ・ルーカスがこれを読んだら、彼を怒らせてしまうかもしれないからね。スターウォーズの音楽のレコーディングに参加したし、その曲も本当に好きだし、ジョン・ウィリアムスは本当に偉大な作曲家です。でも、スターウォーズはどれも見たことないんですよ。

タイヘイ:では、自分がエンペラー・パルパティーンだと想像してください。銀河帝国に1種類だけビールを持っていくことができます。どのビールを持っていきますか。どのビールを溶岩に投げ込みますか。

トーマス:1つ選ぶとしたら、絶対チェコのラガービールを選びます。そう言うと思っていましたよね。

タイヘイ:エビナ・ビールのラインナップはエールというよりは、ラガーやピルスナーよりです。自家醸造から販売用の醸造に移行するときに、ラガーやピルスナーの発酵温度管理での経験を教えてください。

トーマス:温度管理の問題においては販売用の醸造は簡単だったと言えます。専門の機器を使えば、発酵させながら簡単にタンク内の温度を思い通りに設定することができますし、貯蔵・熟成中も温度を簡単に変えることができます。自家醸造では、そのような専門的な機器が家にないので、自家醸造の方が難しいです。

タイヘイ:もっと自分のビールを改良したいと思っている自家醸造家に何かヒントをお願いします。特に貯蔵・熟成について。

トーマス:恐れずにトライしてみてください。大切なことは温度を設定できる冷蔵庫です。それがあれば、ラガービールを醸造できます。

タイヘイ:Facebookにあげているアングリートム・エールはとてもインパクトのある動画でした。このエールの裏話を聞かせてください。

トーマス:どの動画のことか定かではありませんが、チリエールの名前です。妻が初めて飲んだ時、あまりにも辛かったので私が怒って醸造したんだろうと妻が言ったんです。妻がアングリートムと名付けたんですよ。

タイヘイ:トーマスさんと日本海倶楽部のJiri Kotynekさんが出会ったのはいつですか。二人で飲むと、どちらが先に酔いつぶれますか。

トーマス:Kotas(Kochas)は、みんなそう呼びますが、とてもアルコールに強いのです。だから、たいていは私が先に酔いつぶれてしまいます。でも、以前一緒に飲んだとき、自転車に二人乗りしようとなったんです。その時まで、自転車が後ろのタイヤだけしか動かせないことを知らなかったのです。Kotasといるといつも楽しいです🙂

タイヘイ:エビナ・ビールを開業してからを振り返ると、何か変化はありましたか。

トーマス:私は自分が作り上げたものにとても幸せを感じています。もちろん、お金の問題はあります。もっと資金があれば、ボトリングの設備も整えたいと思っています。でもそれはエビナ・ビールをボトルでも提供し始める時の話で、今後の問題です。

タイヘイ:チェコ人は世界で一番ビールを飲んでいると言っていました。トーマスさんとJiri Kotynekさんだったら10リットルをどのくらい早く飲めますか。

トーマス:暑い夏に喉が渇いていたら、10リットル飲むのにそんなに時間はかかりません。おそらく2,3時間です。まぁ、10リットルがスタートですね、酔うのには足りませんよ😉

strong>タイヘイ:東京や他の地域でエビナ・ビールのビールを飲むことはできますか。

トーマス:グッドビアファウセッツヴルストハウスベクタービアなど東京のクラフトビール・バーで飲むことができますよ。東京郊外のいくつかのバーにも置いています。町田や鎌倉にもありますし、大阪や金沢のバーにも置いています。最近、他のレストランやバーにも販売し始めたばかりなので、これからいろいろなところでエビナ・ビールを飲めると思いますよ。

エビナ・ビールを飲めるお店

Ebina Beer

東京都・東23区

東京都・南23区

東京都・西23区

販売情報

醸造所 エビナ・ビール
地図 〒243-0436 神奈川県海老名市扇町5-4
ホームページ https://ebinabeer246.company.site/
連絡先 平井史香
メール ebinabeer246@gmail.com
Taiheiyogan https://www.taiheiyogan.com/content/ebina-beer/
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