クラフトビア・バーの経営者が抱える懸念 タイヘイのメンバーは14の都道府県を訪れ、多くのクラフトビア・バー経営者やオーナーの方からそれぞれの土地や経営に関する課題についてお話を伺いました。その結果、業界が抱える懸念について記事を書くべきと考え、現場で聞いた生の声を本記事にまとめました。 クラフトビールの価格設定 バーを訪れるクラフトビールの新しい消費者に対する主な懸念は、特に時間制限付きの飲み放題を提供しているレストランや超低価格で膨大なラインアップのクラフトビールを販売する手法におけるプライス・ポイント(価格設定)です。ビア・バー経営者から一番多く聞かれたコメントは、消費者がクラフトビールの品質や多数あるクラフトビールのスタイルを理解できるように、コストの正当性を説明する必要があるとのことでした。 市場の飽和 近年、関東地方ではクラフトビール・ショップのオープンや、ブルワリーの新設が急増しており、静岡市や松山市などの中規模の都市においてもビア・バー経営が増加しています。しかし、クラフトビールの新たな消費者数の増加が供給に追いついていません。なかにはクラフトビール人気も今後2,3年で陰りが出るだろうという声も聞かれました。 人材 タップ数、メニュー数、座席数によって、スタッフの数は夫婦2人体制から接客係とキッチンスタッフチームを含む大規模体制まで幅広く異なります。人口減少の煽りを受けてスタッフを雇うのが一層難しくなってきており、ビア・バー経営者やオーナーの中には週6日で働いている方たちもいます。この傾向は、特に大規模なショップやバーで見られます。また、クラフトビール市場の拡大の一助となる高度な知識をもった人材を獲得するのも、ますます難しくなってきています。 「タップ・マルシェ」 キリンの「タップ・マルシェ」は日本中にそのシステムと商品ラインアップを積極的に導入しています。時には、独立系クラフトビール関連のレストランや醸造所の直ぐ隣のお店にも導入を勧めています。「タップ・マルシェ」によって一部の地域では価格競争が引き起こされるかもしれない、または「クラフトビール」のイメージが変わってしまうかもしれないと感じている人たちがいます。この流れをせき止めるために、ビア・バー経営者は消費者の意識と理解を高めようと、独立系クラフトビールについて情報を提供しています。 マーケティング不足 簡単に言えば、小規模のビア・バー経営者はマーケティングに割ける予算がない一方で、ホットペッパーや食べログなどのレストラン紹介サービスを利用するのを躊躇っています。小規模飲食店の経営者が顧客との交流をもち評判を得るには、ソーシャルメディアは強力なツールの1つです。しかし、そのようなサイトを使っても、多くの閲覧者とのやり取りが課題であることに変わりはありません。 最後に レストランをオープンすることは、どの領域でも難しいものです。それは人材雇用、少ないマージン、激しい競争、そして最高のカスタマーサービスの提供を伴う業界であれば、同じことが言えます。ビア・バー経営者はそのような環境の最前線で、一丸となってクラフトビール業界を支えながら、クラフトビールに情熱を注いでいる醸造所の家族も支えています。このことを胸に、タイヘイのメンバーは今度もビア・バー経営者を全力で支援していきます。次回、皆さんがどこかの町のお気に入りのビア・バーで経営者さんに出会ったら、是非とも一緒に飲んでお話をしてみてください。